2020年11月29日

「きちんとやる」とはどういうことか

大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。

「きちんとしなさい!」子供たちはしばしば大人からこのように注意されることがあります。ですが、「きちんと」の基準はなんでしょう?

結論から言えば、年齢によっても異なりますし、子供の個性によっても異なると思います。年齢によって、出来ることや考えられること、すべて違ってきます。落ち着きがある子、じっとしていられない子、じっくりと考えられる子、考えるよりも先に行動してしまう子、いろいろです。

多くの子供たちの成長過程を見ていく中で、子供たちの個性や成長に合わせてレッスンをしていくことの大切さをしみじみ感じています。ですので、私のところに通ってきてくれている生徒さんたちは、みなさん個性がバラバラで、演奏もその子たちらしさが出ていると思います。

同業者でとても厳しい指導をされていて、発表会での子供たちの出来が、自分に対する評価だと信じて、発表会前になると半狂乱になって指導している指導者がいらっしゃいます。そのような方から見ると、私のやり方は「きちんとやっていない」のだそうです。なぜかというと、演奏を失敗したり、練習量が足りなくてミスをしてしまう子がいるからなのだそうです。そういう準備不足の子を発表会で演奏させる私は「きちんとしていない」のだそうです。

私にとっては、準備不足の子供でも発表会に出たいと言うのなら出させるべきだし、指導者がその子を出させないというのは、むしろその子の成長を妨害することになると思います。

指導者から見ればまだまだと思うような出来映えだったとしても、生徒自身が今できることを精一杯頑張ったのであれば、それで十分だし、以前より出来ることが増えていれば、それは頑張ってきた証拠だと思います。

成長途中の子供たちに、失敗は付きものですし、今回は思ったほどには頑張れなかった、あるいは思っていたほど上手くは演奏できなかったなどということは、いくらでもあるでしょう。思ったようにできなかったということは、子供たち自身が良くわかっていますので、それを責め立てる必要はまったくないと思います。そこにたどり着く過程の方が大切です。

レッスンにしろ発表会にしろ、生徒が主役です。学ぶ過程でも生徒が中心でなければいけません。指導者はあくまでも支援者、助言者です。教育というのは、指導者がああしろ、こうしろと言って課題を与えて、それに従うことを強要するのではなく、子供たちの自主性に任せるべきだと思っています。
posted by マカロン at 20:34| ピアノ