今週末には、関東も梅雨明けとなりそうですが、こちら横浜では雨がまったく降らず、気分的にはとっくの昔に梅雨が明けています。今日は少し気温が低く、風もあるので、過ごしやすいですね。
ところで、前回に引き続き、年金改革でなぜ大規模デモが起こったのかについての社会学的考察を取り上げます。
前回は、デモの第1要因として、マクロンが期せずして、フランス大統領と国民の間に労使関係を作り出してしまったことについて触れました。
今回は、デモの第2要因『絶対王政時代の「国王」に対する人民の期待』という社会通念の名残について触れていきます。
21世紀の現代に、17〜18世紀の価値観???と思われるでしょうが、フランス人はアンシャン・レジーム期の王と大統領を同一視しており、それは今もなお変わっていません。よって彼らが大統領に求めている姿勢は、「王たる者、国民を養い、守るべし」というものです。
大統領には、資本主義経済から国民の財産を守ることが期待されているのに、2年分多く年金保険料を徴収し、それを受け取る期間を2年遅らせるという措置を取り、国民を経済的に痛めつけると受け取られたこと、国民を守らない王は、国民が一致団結して打倒すべきであるという革命期の思想が生き続けていることも原因となっています。
王制が廃止され民主制に移行する革命期には、武力行使は正当化されます。よって、大規模デモは「大統領は国民の敵だから、こちらも徹底抗戦するぞ!」というその意思表示です。ここにも王(大統領)と人民(国民)という対立構造が出来上がってしまったわけです。
これが今回の年金改革のデモの深層のような気がして、面白いので取り上げてみましたが、皆さんはどう思われたでしょうか?私は個人としては、抗議のためのデモの文化は、この時期に醸成されたものなのではないか?と思いました。
引用した文献のURLは、
https://www.latribune.fr/opinions/tribunes/comment-expliquer-la-forte-et-persistante-revolte-contre-la-reforme-des-retraites-957199.html
興味のある方は、是非、ご参照ください!
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