日本の子供たちの読解力の低下が問題視されているようです。世界の子供たちの比較という視点から、PISAの結果がよく話題に上がりますね。
ところで、音楽に読解力が不可欠なのはご存知でしょうか?
PISAは読解力を、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義しています。
PISAで測られる読解力の特徴は、次のように述べられています。
1. 理解するだけではない。
⇒ テキストに書かれた情報を理解するだけでなく、「解釈」し、「熟考」することを含んでいる。
2. 読むだけではない。
⇒ テキストを単に読むだけでなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりすることが求められている。
3. 内容だけではない
⇒ テキストの内容だけでなく、構造・形式や表現法も、評価すべき対象となる。
4. 文章だけではない。
⇒ テキストには、文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけでなく、図、グラフ、表などの「非連続型テキスト」を含んでいる。
これを読んでどう思われたでしょうか?実は、上記1〜4の全てが音楽でも求められる力です。1〜4を音楽に置き換えてみると、
1.理解するだけではない。
⇒楽譜に書かれた情報を理解するだけでなく、演奏に際し、それらの情報を「解釈」し、「熟考」しなければいけない。
2.読むだけではない
⇒楽譜を単に読むだけでなく、楽譜に基づいて、自分の考えを音楽で表現しなければ音楽とはいえない。
3.内容だけではない
⇒楽譜に書かれてある音符の音を出すだけでなく、構造・形式・様式・演奏法などにも留意すべきである。
4.楽譜だけではない(これはちょっと解釈が難しいかな?)
⇒楽譜という連続型テキストだけでなく、曲には様々な背景(非連続型テキスト)があり、それを理解することでより深い解釈に基づく演奏ができる。
音楽になぜ読解力が必要なのか、私なりの解釈が反映されていますが、良い演奏家であれば、私の音楽に関する解釈とは、それほどかけ離れていないと思います。
私のレッスンでは、楽譜の読解力を向上させるべく、子供たちに様々な視点からアプローチするよう促しています。小さい頃から読書が習慣になっている子、何か一つのことに精通している子は、楽譜から多くの情報を読み取り、自分の演奏に繋げることができるようになります。
「音楽ができる子=勉強ができる子」この相関関係は、当然と言えば、当然なのですね。
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