2022年09月15日

8月(及び9月)のテーマ:珈琲

大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。

8月から9月にかけてのテーマは「珈琲」です。このコーヒーですが、同じものでも、国によって呼び方が変わります。フランス語圏だけでも多様です。

まず、Espresso。イタリアの代表的なコーヒーです。呼び方はほぼ全世界共有のようで、とても濃い泡立ちコーヒーです。フランス語ではexpressと言うこともあります。量を多めに飲みたいときは、"un double express"と頼めば、2倍量のエスプレッソが出てきます。

それ以外の種類のコーヒーは、それぞれの国で異なっているようです。同じフランス語圏でもかなり違います。例えば、日本で普通に飲まれるドリップコーヒー。フランスのカフェにはありません。もちろん、家庭用のドリップコーヒーマシンがあるので、飲まれていないわけではありませんが、カフェではそれと似たコーヒーを注文することができます。café américain あるいは café allongé と呼ばれていて、エスプレッソをお湯で伸ばしたものです。ポーランドでもコーヒーと言えばエスプレッソですが、そこでもcafé américainもメニューにありました。

このアメリカ式コーヒーは、乗り換えのアムステルダムの空港では、café cremeと表示されていました。フランス語のcafé crèmeは、エスプレッソに泡立ちミルクを加えたものです。身体を暖めて、目覚めさせるために量が多めのコーヒーが飲みたかったので、ブラックコーヒーを探しましたが、メニュー表になかったので、仕方なくcafé cremeを頼みました。でも、飲んだらミルクなしの泡立ちコーヒーでした。コーヒーの泡をクリームと見立てて命名するとは、想像だにしていませんでした。

スイスには、牛乳がコーヒーよりもかなり多めのcafé reverséというものがあります。牛乳が主役のコーヒーで、スイスの濃厚な牛乳の味が楽しめます。ちなみにrenverséの意味は「ひっくり返された」で、牛乳と珈琲の立場が逆転している飲み物に、なるほど!と納得の名前が付けられています。これは、フランスでは見たことがありません。

モロッコのcafé casséは、エスプレッソに少量の牛乳を入れたもので、フランスのcafé noisetteと同じものです。

さらに、くだらない雑学ですが、フランス語で薄くてまずいコーヒーをjus de chaussette(靴下汁とでも訳したら良いのか、、、)と言います。要するに、薄いコーヒーを、汚れた靴下を絞ったときに出てくる水の色に例えているのでしょう。ベルギーでは、これをune lapetteと呼んでいます。

持ち帰りのコーヒーは、フランス語で café à emporter(à emporterは「持ち帰り」という意味)ですが、アルジェリアでは café jetableです。Jetableは「捨てることができる」という意味ですが、捨てることができるのは「コーヒー」ではなく、「持ち帰り用のカップ」のことで、この意味が言外に含まれています。

まだまだ続きはありますが、同じフランス語圏でも、国が変われば表現も変わるという面白い例のひとつかなと思います。
posted by マカロン at 13:48| フランス語