先日、大人のレスナーさんがピアノの体験レッスンにいらしてくださいました。
5歳のときから高校生2年生まで、とても厳しい先生にビシバシ鍛えられたそうです。「いつも怒られてばかりでした、、、」という話で、とにかくプロの演奏家を目指す生徒さんに対するのと全く変わらないレッスンを受けていらしたようです。
現在はピアノを止めてから随分経つので、以前のようには弾けないということですが、バッハの平均律から1曲、体験レッスンで弾いて下さいました。
体験レッスンの後、「こんなに楽しいレッスンは初めてです!」とおっしゃってくださいました。私としては、子供たちに教えるのとなんら変わらないレッスンでしたが、曲の構成や平均律の意味、バロック音楽を演奏する際に注意する点(ノンレガートの話ではありません!)、調が変化している部分と転調の意図、弾きにくい部分がどのような理由で弾きにくく書かれているのかなど理論的な面と、その理論を演奏に移すとどうなるかという実践面の両面からのアプローチをしました。
体験レッスンですので、今回は大雑把な理解だけに留まりましたが、レスナーさんにとっては初めての体験だったようです。
なぜ、私がこのようなレッスンを子供のうちからさせるかというと、自分の音楽を奏でるには、楽譜から作曲家の意図を読み取り、自ら考え、自分にしかできない演奏を目指して欲しいからです。
楽譜は情報の宝庫です。楽譜を読む楽しさも味わいつつ、でもそれだけでは足りないので、楽譜に書ききれていない部分を読み取るために、教える立場の私としては、作曲家の他の作品にも触れて、当時の様式も考慮し、様々な改訂版を見比べています。レッスンでは、私がこのようなことを生徒さんたちに説明しますが、最終的には、生徒さん自身が自分の解釈を加え、独自のスタイルを見つけて欲しいというのが私の願いです。
テクニックは、独自の演奏を探求する作業のなかで、どうするか考え、身につけていけば良いと思います。
今回の体験レッスンを経て、私のレッスンは、音楽を楽しみたい大人の生徒さんととても相性が良いのでは?という思いに到りました。一緒に音楽を探求する楽しみを見つけたい方は、どうぞいつでもお気軽にいらしてください。
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