2022年01月23日

フランス語学習の際に、日本語の使用を禁止すべきか?

大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。

今年の冬は、例年と比べて厳しい冬になっています。それに加えて、自然災害も多い印象です(実際に調べていませんが、、、)し、新型コロナの変異株蔓延で、社会活動も停滞気味です。飲食・観光業界の方々も戦々恐々としていらっしゃると思いますが、教育現場も混乱しています。本来受けられる、あるいは受けるべき教育が混乱しているということは、将来の人材の育成に差し障りがあるということです。早急にどうにかして欲しいと思います。

ところで、それとは関係ないのですが、今日は「外国語学習において母語の使用を禁ずるべきか否か」について私が考えていることを書こうと思います。これについては賛否両論ありますし、語学学習において、脳科学の分野では、話すことが書くことよりも優先されること、書くことは話すことの延長上にあることなど、口頭からの外国語学習の優越性が強調されています。実際に母語の習得においては、子供は生まれた時から、母親などの身近な大人の話していることを繰り返し聞き、反復しながら言葉を覚えていきます。

本来であれば、大人の外国語学習においても、おそらく聞き、話すことから入るべきだし、この方法であれば、発音やイントネーションも学習言語のネイティヴにとても近いものになるとは思います。しかし習得しようとしている言語が話されている国に住んでいるなど日常的に聞くことや話すことができる環境にない限り、非常に効率が悪い方法と言えるでしょう。簡単な文章を覚えて、それをなんども繰り返し発音して、次に同じ文章の構造を使って単語だけを入れ替えていくという練習方法もあります。これはこれで習得のひとつの方法であり、言語体系が非常に近い言語であれば、初級の段階ではそれなりに効果のある方法だと思います。

ですが、母語と習得する言語の言語族が異なる場合は注意が必要です。文法大系や表記文字、発音が大きく異なる場合、まず文字を覚えることから始め、それを発音し、文法を学んだ後に、やっと簡単な文章を作ることができるようになります。そのために、文章を作る際には、まず母語で文章を考え、それを翻訳していくという作業をします。この作業の際に気を付けないと、かなりの確率で不自然な表現になります。私も含めてですが、皆さんにも経験のあることでしょう。

確かに最良の方法は、母語を通さずに習得言語で文章が作れることなのですが、日本語を母語としている私たちにとって、ヨーロッパの言語を習得する際には、最初はなかなかそうもいかないのが現実ですよね。いかに教員側が母語の使用を禁じようとも、学習者は母語を足がかりとして考えますので、母語を発することを禁ずることはできても、考える際にはその使用を完全に禁ずることはできないと言えるでしょう。ですので、日本語を母語とする学習者が欧米語を習得する場合に限っていえば、教師は、母語を足がかりとして、学習者に母語との違いを認識させる方法は有効だろうと思います。また、それは日本語を知っている教員だからこそできることではないでしょうか。
タグ:教授法
posted by マカロン at 11:49| フランス語

2021年11月22日

中性代名詞Yの省略

大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。

レッスンをしていると、度々、生徒さんたちから面白い質問が出ます。これらをブログをご覧の皆さんと共有できたら良いのでは!と思い、「フランス語豆知識」のタグを作ってみました。

文法の一般的な規則から外れる例外的用法は、初級レベルだとわからないことが多々あります。是非、これからのフランス語学習にご活用ください。

では、本題に入りましょう!

今日は、場所を指す「中性代名詞 y 」についてです。

まずは、場所を表す中性代名詞 y の復習から始めましょう!
例えば、
Je vais à l'école. という文章の場合、à l'écoleの部分を「そこに」という意味を持つ「 y 」 が受け、動詞の前に置かれ、 J'y vaisとなります。

ですが、例外があります。allerの1人称単純未来形の時のみ、この「 y 」は省略されます。

現在形:J’y vais.
近接未来: Je vais y aller.
複合過去形: J’y suis allé(e).
半過去形:J’y allais.
大過去形:J’y étais allé(é).
単純未来形:J'irai.

となり、単純未来形の時だけ、J’iraiと中性代名詞 y が省略されます。
例外なので覚えるしかありません。辞書にも記載されていますので、確認してみてください。
posted by マカロン at 09:18| Comment(0) | フランス語

2021年10月17日

個人レッスンのデメリット

大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。

すっかり秋らしくなりましたね。週末は晴れて欲しいですが、今日は生憎の雨です。

以前、フランス語レッスンにおける「個人レッスンのメリット」について、このブログで2度ほど書きましたが、デメリットについては一度も書いたことがないので、今日はあえて、個人レッスンのデメリットが何かを考えてみたいと思います。

1点目は、レッスン内でのインタラクティヴな学習ができないことです。また、一緒に勉強する仲間がいないことで、モチベーションが保てないということもあります。つまり、共に頑張る仲間を求めている人にとっては、個人レッスンは満足するものとはならないでしょう。

先日、北海道に旅行に行った際、名古屋在住のフランス人一家と知り合いになりました。彼らは2年半ほど日本に滞在していましたが、コロナ禍の影響を受けたため、ドイツ企業に転職し、この夏を最後に、日本を去るという話でした。この一家、一番下の小学3年生の男の子は日本の公立の小学校へ、中学1年生の女の子はインターナショナル・スクールへ、お父さんは会社へ行き、日本社会との接点がありましたが、お母さんだけが社会との接点がなく、日本語のレッスンが頼りだったそうなのです。しかしこのコロナ禍でレッスンがオンラインとなり、人との直接的な交流がなくなり、学習へのモチベーションが下がってしまい、日本語の勉強自体も止めてしまったそうです。「だから、2年も日本にいたのに日本語をほとんど話せるようにならなかった、、、」と話していました。

学習のスタイルは人それぞれ異なるものです。私自身は、本質的には、勉強は孤独な作業だと思っていますが、仲間との話し合いの中から、自分にはない視点を得ることも多いと思います。仕事の場合は、チーム内の異なる意見を集約して成功に導いていくことが常でしょう。なので、フランス語学習においても、人の意見などを聞きながら自分を高めていく方法が向いている人には、個人レッスンは不向きなのではないかと思います。

2点目は、受講者に対する授業負荷が高いという点ではないでしょうか。どういうことかと言うと、他の学習者がいないので、時には学習内容が停滞することがあるということです。これは、個人レッスンのメリットと表裏一体の側面と言えると思います。

例えば、個人レッスンの受講者の中には、自分のペースで学習を進めたいために、個人レッスンを希望する方がいらっしゃいます。この「自分のペース」というのにはいくつか種類があって、レッスンの回数(毎週ではなく、月2回など)やレッスン日時の自由度(自分の都合に合わせたレッスン日時の選択)というものもありますが、もう一つ、自分の「理解度に従って」というものもあります。つまり、理解するまで徹底的に、あるいは語彙や熟語の習熟度に合わせた学習内容にしてもらうということもあります。

グループレッスンの場合には、学習期間・総時間数とカリキュラムが決まっており、講師にはカリキュラム内容を期間内に終わらせることが求められています。ですのは、時には各学習者の習熟度を蔑ろにせざるを得ないこともあります。そのため、グループレッスンの学習者は、各種試験を受けて習熟度を測る方もたくさんいらっしゃいますね。

どちらも一長一短ありますが、趣味のフランス語学習には、最終ゴールはありませんので、いろいろ取り混ぜてご自身の学習を楽しめれば良いと思いますし、私は講師として、皆さんの学習にお力添えさせていただければ光栄だなあと思っています。
posted by マカロン at 10:06| フランス語