大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。
夏休みに入りました!8月に入り、夏本番です!子供たちは暑さにも負けず、元気にピアノに通ってきています。でも、少しだれ気味ですかね、、、
とはいうものの、長期の休みには、日頃体験できないことに挑戦して、有意義な時間を過ごしてくれるといいなと思っているので、このような時期は、勉強やピアノなどの頭を使う活動は一時休止して、目一杯身体を動かしてたくさん汗をかいて、体力を養って欲しいなと思います。
部活を頑張る子、海外の世界遺産を見に行く子、スポーツの合宿や試合に明け暮れる子、キャンプを楽しむ子、いろいろですが、子供たちそれぞれ楽しんでいるようです。この夏の経験は、きっとこれからの人生の糧になってくれるでしょう。大人の生徒さんたちも、夏の予定を嬉々として話して下さいます。
私もやる気を出すのに一苦労!暑いので仕方ないと思うことにしています。冷房の効いた室内で翻訳作業や読書を始めるものの、睡魔に襲われることもしばしば。歌の練習をすると汗だくになるので、横隔膜や腹横筋が退化しない程度の呼吸練習くらいしかしていません!
日本人は勤勉で常に何かをし続けている印象がありますが、緊張の続く日常から離れた非日常があることで、新たな日常に新鮮な気持ちで戻っていけることをフランスの生活で学びました。フランスでは、大人たちが自分の子供たちに向かって「もういい加減休みが必要だよ」と言っているのを何度も目にしています。
これから、お盆などでお休みを取る方も大勢いらっしゃると思いますが、家族との貴重な時間を大切にお過ごしください。
2023年08月04日
夏本番ですが、いかがお過ごしですか?
posted by マカロン at 10:44| Comment(0)
| 日記
2023年07月21日
6月・7月のテーマ「年金改革反対デモ」(その2)
大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。
今週末には、関東も梅雨明けとなりそうですが、こちら横浜では雨がまったく降らず、気分的にはとっくの昔に梅雨が明けています。今日は少し気温が低く、風もあるので、過ごしやすいですね。
ところで、前回に引き続き、年金改革でなぜ大規模デモが起こったのかについての社会学的考察を取り上げます。
前回は、デモの第1要因として、マクロンが期せずして、フランス大統領と国民の間に労使関係を作り出してしまったことについて触れました。
今回は、デモの第2要因『絶対王政時代の「国王」に対する人民の期待』という社会通念の名残について触れていきます。
21世紀の現代に、17〜18世紀の価値観???と思われるでしょうが、フランス人はアンシャン・レジーム期の王と大統領を同一視しており、それは今もなお変わっていません。よって彼らが大統領に求めている姿勢は、「王たる者、国民を養い、守るべし」というものです。
大統領には、資本主義経済から国民の財産を守ることが期待されているのに、2年分多く年金保険料を徴収し、それを受け取る期間を2年遅らせるという措置を取り、国民を経済的に痛めつけると受け取られたこと、国民を守らない王は、国民が一致団結して打倒すべきであるという革命期の思想が生き続けていることも原因となっています。
王制が廃止され民主制に移行する革命期には、武力行使は正当化されます。よって、大規模デモは「大統領は国民の敵だから、こちらも徹底抗戦するぞ!」というその意思表示です。ここにも王(大統領)と人民(国民)という対立構造が出来上がってしまったわけです。
これが今回の年金改革のデモの深層のような気がして、面白いので取り上げてみましたが、皆さんはどう思われたでしょうか?私は個人としては、抗議のためのデモの文化は、この時期に醸成されたものなのではないか?と思いました。
引用した文献のURLは、
https://www.latribune.fr/opinions/tribunes/comment-expliquer-la-forte-et-persistante-revolte-contre-la-reforme-des-retraites-957199.html
興味のある方は、是非、ご参照ください!
今週末には、関東も梅雨明けとなりそうですが、こちら横浜では雨がまったく降らず、気分的にはとっくの昔に梅雨が明けています。今日は少し気温が低く、風もあるので、過ごしやすいですね。
ところで、前回に引き続き、年金改革でなぜ大規模デモが起こったのかについての社会学的考察を取り上げます。
前回は、デモの第1要因として、マクロンが期せずして、フランス大統領と国民の間に労使関係を作り出してしまったことについて触れました。
今回は、デモの第2要因『絶対王政時代の「国王」に対する人民の期待』という社会通念の名残について触れていきます。
21世紀の現代に、17〜18世紀の価値観???と思われるでしょうが、フランス人はアンシャン・レジーム期の王と大統領を同一視しており、それは今もなお変わっていません。よって彼らが大統領に求めている姿勢は、「王たる者、国民を養い、守るべし」というものです。
大統領には、資本主義経済から国民の財産を守ることが期待されているのに、2年分多く年金保険料を徴収し、それを受け取る期間を2年遅らせるという措置を取り、国民を経済的に痛めつけると受け取られたこと、国民を守らない王は、国民が一致団結して打倒すべきであるという革命期の思想が生き続けていることも原因となっています。
王制が廃止され民主制に移行する革命期には、武力行使は正当化されます。よって、大規模デモは「大統領は国民の敵だから、こちらも徹底抗戦するぞ!」というその意思表示です。ここにも王(大統領)と人民(国民)という対立構造が出来上がってしまったわけです。
これが今回の年金改革のデモの深層のような気がして、面白いので取り上げてみましたが、皆さんはどう思われたでしょうか?私は個人としては、抗議のためのデモの文化は、この時期に醸成されたものなのではないか?と思いました。
引用した文献のURLは、
https://www.latribune.fr/opinions/tribunes/comment-expliquer-la-forte-et-persistante-revolte-contre-la-reforme-des-retraites-957199.html
興味のある方は、是非、ご参照ください!
タグ:フランス語豆知識
posted by マカロン at 11:45| Comment(0)
| フランス語
2023年07月13日
6月・7月のテーマ「年金改革反対デモ」
大倉山のピアノ教室、フランス語教室「スタジオ・ユールhttp://www.studio-jul.com 」の川田です。当ブログをご覧頂きありがとうございます。
7月に入り、急に暑さが厳しくなりました!夏はこれからなのに、すでに気分はバテ気味です。
ところで、フランスでは、また暴動が起こっています。今回は、警察の発砲射殺事件ですが、人種差別が根底にあり、欧米では頭の痛い問題になっています。私がまだフランスに住んでいた時期(1990年代後半から2000年後半)も、ちょっとした行為や発言で、白人が人種差別主義者呼ばわりされる現場に遭遇しました。人種や性に関する問題は、議論をしなければいけない問題だとは思うのですが、言葉尻を捉えた攻撃をし易いのか、炎上しやすい問題なので触れたくないと思っている人も多いのではないでしょうか。
ところで、フランスではこの暴動の前に、大規模な抗議デモが行われていましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか?年金改革に端を発した抗議活動でしたが、6月〜7月のフランス文化編の教材として、「フランスの年金改革がなぜ、これほどまで国民からの反対を受けているのか」について、社会学的観点からの考察を取り上げています。
フランス国民をここまで怒らせた原因はどこにあったのでしょうか?日本人にはなかなか理解しづらいデモ文化を紐解いてみましょう。
まず第一に、単純に今までより2年多く働かなければいけないこと、保険料を多く収めなければいけないことに不満を持ったということなのですが、実際には、今回の改正の中身を詳細に理解している人は、フランス国民の中にはほぼいませんし、この制度が将来的に成功なのか失敗なのかも、誰にもわかりません。
ということで、この「2年の負担」は、表面上はこのデモの原因に見えますが、本当の原因はもっと深い場所にあるのがわかります。では、なぜフランス国民は、これほどまでに激高したのでしょうか?
それにはどうも、マクロンが前面に打ち出した「大統領はフランス国のパトロン」という国のトップの立ち位置と『絶対王政時代の「国王」に対する人民の期待』という価値観が関係しているようです。
今回は、マクロンの立ち位置についてのみ、簡単に解説していこうと思います。
マクロンは、大統領である自分の立ち位置を、フランスのトップに立つものという意味で「国家の長chef de l’État」、フランスという国家を一企業と見なし「フランスのパトロンpatron de la France」と表現しています。
実はこのことがフランス人の反発を招く要因となっています。「フランス国のパトロン」とは「フランス国民のパトロン」となり、フランス国民が「労働者」、大統領が「雇い主」という、労使の対立構造を期せずして作り出してしまったのです。
要するに、大統領と国民は対立するものであり、国民は要求を通すために、デモをするのは当たり前ということになります。
これが、フランス国民が年金改革に反対し、大規模デモを行った第1の理由です。もう一つの理由については、次回にお知らせます。
では、次回をお楽しみに!
7月に入り、急に暑さが厳しくなりました!夏はこれからなのに、すでに気分はバテ気味です。
ところで、フランスでは、また暴動が起こっています。今回は、警察の発砲射殺事件ですが、人種差別が根底にあり、欧米では頭の痛い問題になっています。私がまだフランスに住んでいた時期(1990年代後半から2000年後半)も、ちょっとした行為や発言で、白人が人種差別主義者呼ばわりされる現場に遭遇しました。人種や性に関する問題は、議論をしなければいけない問題だとは思うのですが、言葉尻を捉えた攻撃をし易いのか、炎上しやすい問題なので触れたくないと思っている人も多いのではないでしょうか。
ところで、フランスではこの暴動の前に、大規模な抗議デモが行われていましたが、覚えていらっしゃいますでしょうか?年金改革に端を発した抗議活動でしたが、6月〜7月のフランス文化編の教材として、「フランスの年金改革がなぜ、これほどまで国民からの反対を受けているのか」について、社会学的観点からの考察を取り上げています。
フランス国民をここまで怒らせた原因はどこにあったのでしょうか?日本人にはなかなか理解しづらいデモ文化を紐解いてみましょう。
まず第一に、単純に今までより2年多く働かなければいけないこと、保険料を多く収めなければいけないことに不満を持ったということなのですが、実際には、今回の改正の中身を詳細に理解している人は、フランス国民の中にはほぼいませんし、この制度が将来的に成功なのか失敗なのかも、誰にもわかりません。
ということで、この「2年の負担」は、表面上はこのデモの原因に見えますが、本当の原因はもっと深い場所にあるのがわかります。では、なぜフランス国民は、これほどまでに激高したのでしょうか?
それにはどうも、マクロンが前面に打ち出した「大統領はフランス国のパトロン」という国のトップの立ち位置と『絶対王政時代の「国王」に対する人民の期待』という価値観が関係しているようです。
今回は、マクロンの立ち位置についてのみ、簡単に解説していこうと思います。
マクロンは、大統領である自分の立ち位置を、フランスのトップに立つものという意味で「国家の長chef de l’État」、フランスという国家を一企業と見なし「フランスのパトロンpatron de la France」と表現しています。
実はこのことがフランス人の反発を招く要因となっています。「フランス国のパトロン」とは「フランス国民のパトロン」となり、フランス国民が「労働者」、大統領が「雇い主」という、労使の対立構造を期せずして作り出してしまったのです。
要するに、大統領と国民は対立するものであり、国民は要求を通すために、デモをするのは当たり前ということになります。
これが、フランス国民が年金改革に反対し、大規模デモを行った第1の理由です。もう一つの理由については、次回にお知らせます。
では、次回をお楽しみに!
タグ:フランス語豆知識
posted by マカロン at 13:18| Comment(0)
| フランス語